プロ野球選手も通う釜揚げうどんの名店

江戸時代の宮崎県は、小藩と天領が複数に入り乱れて分かれていた土地でした。その影響からか近隣の藩との往来が活発で、他国よりも自由な雰囲気があったそうです。往来は海を越え、四国の藩とも盛んに交流した記録も残っています。

そんな背景から、明治期になると四国から宮崎へと移住してくる人も多く、農業や漁業技術の他、様々な食文化も伝わってきました。実は宮崎はうどん文化が広く根付いている地域ですが、それは江戸時代の交流や四国から移住してきた際にもたらされたうどんがルーツだと言われています。

四国から渡ってきて、宮崎で独自の発展をとげたのが「釜揚げうどん」です。熱々の湯気を立てる桶からうどんを直接取って、揚げ玉の浮かぶ出汁が濃い目のつゆにつけて食べるのが宮崎流。今回は青島駅そばの人気店「岩見」さんでいただきます。

さすがに人気店だけあって、開店直後ですぐに行列。これがプロ野球のキャンプシーズンなどになると長蛇の列ができるそうです。店内に入ると野球選手のサインが沢山ありました。勝手なイメージですが、スポーツ選手は炭水化物好きそうですもんね。

店内の食券機で基本の「釜揚げうどん」と「魚ずし」を購入。「魚ずし」は宮崎の言葉でサバ寿司のこと。 門川町を代表する郷土料理で、宮崎のうどん屋さんでは定番のようです。

福岡だとうどんのお供には、稲荷寿司とかかしわおにぎりが多いですね。この「魚ずし」も、元々は高知の姿寿司がルーツのようでこちらもうどん同様に四国から伝わった食文化ですね。

肝心のうどんはこちら!器にはなみなみ茹で汁が入っており、中には茹で上がったばかりのうどんが揺らめいています。麺は九州らしいコシの無い柔らかいモチモチ食感です、これを贅沢に出汁を効かせたつゆにくぐらせずずずっとすすると美味い!一心不乱にすすってあっという間に完食しました。

「岩見」を出ると、道を挟んですぐに日南海岸があります。満腹の状態でサーファー達のいる海をぼーっと眺めていると、なんとも言えない幸せな気分になりました。