桜の木の下に建つ廻国供養塔
天気が良かったので、ちょっと川棚町の廻国供養塔を見に行ってきました。
廻国供養塔は、全国旧66カ国を巡礼し、法華経を書写して1国1カ所の霊場に1部ずつ納めて、仏道と縁を結んだ記念に建立されたものです。巡礼した宗教者を六十六部業者、六部行者、廻国聖などと呼びました。
六十六部廻国巡礼がいつ頃はじまったのかは、はっきりと分かっていませんが、13世紀前半には行われていたことが史料から確認できます。1国1カ国を納経するのが原則でしたが、1国内で六十六カ所めぐる簡略形もあったそうです。いずれも定まった納経霊場はないのが特徴でした。
中世では専業の宗教者が行っていましたが、時代が下ると俗人による巡礼も行われました。最も信仰が盛り上がったのは世情が安定した18世紀前半で、石造供養塔を建立されだしたのも、この時期です。
川棚町の廻国供養塔は1807年、ある六十六部業者が大乗妙典を奉納した際に建てたものです。この塔は昭和32年に猪乗川下流の川底から出土し、同年9月に猪乗川そばの現在地に建てられました。