老舗の風格と味を訪ねて――せいろ蒸し発祥の店へ

この日、車を走らせて向かったのは柳川市。筑後川の水郷地帯に抱かれたこの町は、川下りや北原白秋のふるさととして知られる風情あふれる場所です。

今回の目的はただひとつ、うなぎのせいろ蒸し発祥の老舗「若松屋」を訪ねること。柳川の市街地に入ると、川沿いにどこか懐かしいような町並みが広がります。のれんをくぐる前から、期待は高まるばかり。

創業はなんと安政年間。時を重ねた暖簾の重み

若松屋の創業は安政年間(1854〜1860年)。江戸時代の終わりにあたるこの時期に店を構え、以来160年以上にわたって柳川の味とともに生きてきた老舗です。

店の中には、木の温もりを感じる座敷やテーブル席があり、落ち着いた雰囲気。スタッフの皆さんの対応も丁寧で、長い年月をかけて磨かれてきた接客の所作にも品格が漂います。

メニューも豊富、誰と行っても楽しめる構成

メニューには、せいろ蒸し単品はもちろん、うなぎ定食や御膳、白焼きなども。観光客だけでなく、地元の常連さんにも愛されているのが頷けるラインナップです。

特筆すべきは、季節限定のセットやお子さま向けの配慮も見られる点。家族連れやカップル、ちょっとしたお祝い事にもぴったりな場所です。

うなぎのせいろ蒸し ― 蒸気に包まれた至高の一口

注文したのはもちろん名物のうなぎのせいろ蒸し。炊きたてのもち米ごはんの上に、甘辛いタレを絡めたうなぎの蒲焼きをのせ、それをさらにせいろで蒸すというスタイル。

タレの香ばしさがごはんの一粒一粒にまでしみわたり、口に入れた瞬間にふわっと広がる芳醇な香りと柔らかなうなぎの食感に思わずため息がこぼれます。

柳川では定番のこの料理、実は若松屋が発祥の店とされており、伝統の技を今に伝える一品です。

食後の余韻とともに、もうひとめぐり

食後は、店のすぐそばを流れる掘割沿いをそぞろ歩き。蒸しあがったうなぎの香りが残る口元に、風が心地よく吹き抜けていきます。老舗の味と歴史が交差する柳川。若松屋のせいろ蒸しは、柳川旅の主役になる一品でした。

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