唐津の丘に眠る小さな古墳群

唐津市の郊外、青空の下に草原が広がり、そのなかにふんわりと盛り上がった丘が見えます。ここが「双水迫(そうずいざこ)古墳群」。5世紀後半から6世紀にかけて築かれた小さな古墳たちが集まっていて、いまは静かな公園として人びとを迎えています。
発掘で明らかになった姿


調査によって、古墳群からは石棺や石室、副葬品などが発見されました。鉄剣や刀子といった武器類のほか、5号墳からは男性の人骨がほぼ完全な姿で見つかっています。解説板に掲げられた写真を見ると、1500年前の人がそこに横たわっていたことを実感させられます。
公園として整備された古墳群



現在、双水迫古墳群は「双水公園」として整備され、発掘跡は白砂で区切られています。芝生の広場を歩きながらパネルを読むと、ただの小高い丘に見えた景色が古代の物語へと変わっていきます。入口には石柱や案内板があり、散策しやすいよう配慮されています。
今に伝わる古代の気配

草の匂い、風にそよぐ音、そして空を渡る雲。そんな日常の風景のなかに、古墳時代の人びとの痕跡が静かに残されています。小さな古墳群ですが、ここに立つと不思議と時間の奥行きを感じます。唐津の人びとが大切に守り継いできた遺跡は、いまも訪れる人の心に古代の気配を届けてくれます。