大任町に眠る古代の記憶

大任町の住宅地を抜けた先、小高い丘の上に「建徳寺二号墳」はあります。信号を渡り、緑に囲まれた坂道を登っていくと、古墳公園へと続く静かなアプローチが見えてきます。

途中には長いローラーすべり台や自販機があり、地域の子どもたちの遊び場にもなっている様子。古代の遺跡と現代の生活空間が重なり合う、不思議な風景です。

石段を上がると、鬱蒼とした木々の間から古墳への道が現れます。かつて発掘された横穴式石室が保存されているこの地は、町指定史跡として整備されています。

「建徳寺二号墳」と刻まれた石碑。平成6年に大任町指定史跡に指定されました。墳丘は直径20メートルほどの円墳で、6世紀後半(約1400年前)に築かれたと考えられています。

解説板によると、内部は横穴式石室で、刀子・大刀・鉄鏃・馬具・耳環・管玉などが副葬されていました。生活の道具だけでなく装身具や武具も出土しており、当時の権力者の墓であったことがうかがえます。

解説板によると、内部は横穴式石室で、刀子・大刀・鉄鏃・馬具・耳環・管玉などが副葬されていました。生活の道具だけでなく装身具や武具も出土しており、当時の権力者の墓であったことがうかがえます。

施設内にはガラス越しに石室が保存され、当時の姿を今に伝えています。周囲の壁には副葬品の写真や古墳の構造を紹介するパネルが掲示され、歴史学習の場としても活用されています。

苔むした石の間に眠る横穴式石室。築造から千数百年を経た今も、重厚な石組みはその威厳を失っていません。静かな林に包まれた墳丘の前に立つと、古代の人びとの営みをそっと感じ取ることができます。

建徳寺二号墳は、大任町の身近な自然と一体になった歴史遺産です。遊具で遊ぶ子どもたちの声が響く傍らに、古代豪族の墓がひっそりと眠る。その対比が、この場所の魅力をより一層際立たせています。大任町を訪れる際には、ぜひ一度立ち寄ってみてください。