干潟に生きるいのちの風景
福岡方面から車を走らせ、夕方前に荒尾へ着きました。
この日は天気もよく、空がすこしずつオレンジ色に染まりはじめていて、海の方へ向かうと、潮の香りがふわっと漂ってきました。
ここが、有明海の最奥に広がる荒尾干潟。南北およそ9キロ、最大幅3キロを超える広大な干潟です。
初めて見ると、その広さにただただ圧倒されます。地図で見るよりずっと大きく、静かで、どこか懐かしい景色でした。

駐車場から少し歩くと、青い案内板が立っていました。荒尾干潟は2012(平成24)年にラムサール条約湿地に登録された場所。世界中の渡り鳥がここに立ち寄り、羽を休めていくそうです。
案内板には、ムツゴロウやシオマネキ、ハマグリなどこの干潟に暮らす生きものたちの名前がずらり。
満潮のときは海、干潮になると一面の泥の大地。潮の満ち引きとともに、まるで生き物のように姿を変える場所です。

日が傾き、海辺がゆっくりと黄金色に変わっていきます。
有明海の向こうに雲仙普賢岳の山影が見えました。

干潟のそばには「荒尾干潟水鳥・湿地センター」があります。中には渡り鳥の写真や、干潟の仕組みを紹介する展示。

外へ出ると、もう太陽が海に沈みかけていました。「夕方がいちばんきれいですよ」とスタッフの方が教えてくれた通り、干潟全体がゆっくりと金色から朱色へ変わっていきました。
行ってみて本当によかったと思いました。少しだけ時間の流れが遅くなったような気がしました。