西の油屋・東の岩田屋と呼ばれた大店跡
地下鉄西新駅から藤崎駅へ向かう途中に、かつて「大西」と呼ばれていたエリアがあります。このエリアは城下町への入口で、唐津街道と三瀬街道が交差する場所でもあった為、周辺の農村から多くの農産物が運びこまれ大変な賑わいをみせていました。
大西界隈で最も大店だったのが、伊佐一族が経営する「油屋」です。質・呉服・油・米・肥料など一族による多角経営で、現在でも当時の建物の一部が残っています。
さらに奥には土蔵らしきものも見えています。家屋の図面など詳細情報はこちらから。
そしてキリギリス箱と呼ばれた独特な建築様式は、戦火を逃れ国の重要文化財に登録されました。また母屋は、現在グリーンピア八女内に移築され、カフェとして使用されています。
伊佐一族は、小田部氏が龍蔵寺氏に攻め滅ぼされた後に商家に転じた、「荒平くずれ」と呼ばれた人たちでした。その後、同じ荒平くずれの中牟田一族が経営する岩田屋と共に、「西の油屋、東の岩田屋」と呼ばれ隆盛を極めました。
余談ですが、伊佐家の斜め向かいに大叔母の自宅があり、大映による「馬賊芸者」の撮影時には出演者の楽屋として提供したそうです。京マチ子にお茶を出したのが自慢でした。