堤防沿いの道をゆく

嘉瀬川の堤防沿い、小さな農道をたどっていくと、遠くに神社の鎮まる林が見えてきます。風に揺れる田の音を聞きながら、静かな時間のなかを歩いていきます。
鳥居をくぐると狛犬と灯籠が出迎え

参道に立つのは、文政7年(1824年)銘の台輪鳥居。その内側には砥川型の狛犬と灯籠が左右に並び、奥の拝殿へと導いてくれます。足元の白砂に、かすかな歴史の気配が宿ります。

拝殿と本殿をつなぐ神橋

拝殿の正面には、事件後に修復された銅板屋根がしっかりと輝いていました。美しく整えられた姿が、地域の再生の意志を語っているようでした。
屋根下には防犯カメラも
2024年春、屋根の銅板が数百枚盗まれる事件が発生。それを受けて防犯カメラが設置され、地域を守る目が新たに加わりました。

天井に描かれた物語

拝殿内部を見上げると、そこには多くの花鳥や人物が描かれた格天井絵が残っていました。色褪せながらも、その筆致には力強さがあり、時代を越えて何かを伝えています。
石橋の先に鎮まる本殿

拝殿から奥へと続く小さな石橋を渡ると、本殿が一段高い場所に祀られています。社殿の奥にあるこの橋が、信仰の空間を静かにつなげていました。本殿は石造で、玉垣に囲まれています。陽の差す中にあってもどこか静かな重みを感じる佇まいでした。
静かに祀られる小祠

本殿の東側、木陰の中には小さな祠も祀られていました。すぐそばには水をたたえる池があり、信仰と自然のつながりを感じる空間でした。
おわりに
事件の痕を乗り越え、地域とともに息づいていた五社神社。華やかではないけれど、ていねいに守られてきた土地の記憶が、社殿や石橋、そして天井絵の一枚一枚に宿っていました。また、季節が変わった頃にふらりと訪れてみたいと思います。