剣豪の里に佇む“試し斬りの石” — 柳生の里を歩く

今回は九州から足を伸ばし、奈良県の山深くにある柳生の里を訪ねました。剣豪・柳生十兵衛の伝説が息づくこの地で、天乃石立神社と一刀石までの参道を歩いてきました。
鬱蒼とした杉林の中へ

入口の鳥居をくぐると、森の香りに包まれた静かな山道が続きます。雨に濡れた杉の根や苔むした岩が、まるで江戸時代から時間が止まっているかのよう。
道中には神社の由来を伝える案内板が立ち、歴史を感じながら進めます。
天乃石立神社に到着

しばらく登ると木造の拝殿が現れます。ここが天乃石立神社。柳生新陰流の祖・柳生石舟斎宗厳が神仏に祈りを捧げ、剣術の極意を磨いたと伝わります。
灯籠やしめ縄が、今も剣士たちの信仰を伝えていました。
伝説の「一刀石」との対面

さらに奥へ進むと、巨大な石が真っ二つに割れた「一刀石」が姿を現します。
まるで刀で斬ったような切り口は、宗厳が修行中に天狗を斬ったとも、試し斬りをしたとも語り継がれる不思議な巨石。目の前に立つと、剣の気迫が森に残っているような感覚を覚えます。
剣の里を歩く意味

柳生の里は単なる観光地ではなく、日本の武士道や剣術の原点に触れられる場所です。
雨上がりの森を歩きながら、剣士たちが磨いた技と精神を少しだけ追体験できた気がしました。