国と家族を想い、死ぬために厳しい訓練を重ねた隊員たち
特攻隊と聞くと、ゼロ戦で敵艦に体当たりする神風特別攻撃隊を思い浮かべる方が多いと思いますが、魚雷で突撃する特別攻撃も存在しました。九三式魚雷を改造した人間魚雷「回天」です。この搭乗員を訓練する基地が山口県の大津島、光、平生、そして大分県日出町の大神にありました。
大東亜戦争末期、日本が劣勢に立たされるなかで、発案された兵器は「天を回らし戦局を逆転させる」という思いを込めて回天と命名。上層部ではなく海軍大尉と中尉の2人による発案で、必死を前提とする兵器は認められず、一度は却下されますが、あまりの熱意により正式兵器として採用されました。
回天の頭部には1550キロの炸薬が重点され、どんな艦船も撃沈できるといわれていましたが、大神訓練地からは一度も出撃しないまま終戦を迎えました。
訓練基地は当初、海軍工廠建設のために25haもの広大な土地を強制買収されたものですが、
戦局の悪化により建設計画は頓挫。その後、土地の一部を転用して回天大神訓練基地が建設されました。現在も大神地区に施設の痕跡が多く残っています。
本部庁舎内には回天神社がありましたが、現在は大神地区にある住吉神社に合祀されています。ご神器は回天の部品であった操舵機、発停装置、燃焼器推進軸受。回天作戦に関わって殉職した方々を祀っています。
搭乗員だった方の証言が西日本新聞のHPに掲載されています。この方は平生基地に所属されていたようですが、当時の隊員の覚悟に感服しました。是非ご一読ください。