日向市歴史民俗資料館

美々津千軒と称されるほど、商家が建ち並び現在も多くの建物が残っている美々津ですが、
実際に屋内まで見学できるのは、数軒ほどです。そのうちのひとつが、かつての廻船問屋・河内屋を復元した日向市歴史民俗資料館です。

1855年建築の河内屋
現在は資料館として中を見学できます

中にはガイドの方がいて、丁寧に河内屋や美々津について説明していただきました。この河内屋は河野家が代々居住し、数隻の千石船を所有して、周辺で伐採した木材や木炭などを瀬戸内や関西に運び、取引を行っていたそうです。復路はその土地で着物や酒、雑貨などを買い付けて美々津に持って帰り、販売していました。これを月に1~3回ほど繰り返し、河内屋は美々津でも有数の商家として栄えました。また、美々津の商家の屋号は河内屋をはじめ、近江やや大坂屋など上方に由来する名前が多くあるそうです。

復元模型
大福帳かな、、、

押し入れに見立たてた隠し階段

この河内屋には、襖にみたてた隠し階段があります。建築当時はまだ武士社会で、町人が2階を造ることは武士を見下すと見なされるため、禁止されていたそうです。このため2階への階段は押し入れに見立てて、隠されていました。

階段を上がる
想像以上に広い2階

きっと狭い屋根裏のような2階を想像していましたが意外や意外。十分に広くて日当たりも良好です。勝手な推測ですが、商人が2階をつくるのを禁じられていたのは表向きで、誰もが周知の事実だけど、堂々と2階を使用すると咎められてしまう、、、だから隠すように階段を設置した、、、そんな状況だったのではないでしょうか。まぁ、勝手な解釈ですが。

説明によるとここで密談も行われていたとか

10年ほど前に鹿児島県南さつま市にあった密貿易屋敷を見学させてもらったことがあるのですが、そこも2階に隠し部屋があり、1階のお客や港から船が入ってくる様子を監視できるような構造になっていました。ただ、河内屋の2階とは対象的に薄暗く狭かったです。幕府の役人に踏み込まれた時のために逃亡用の通路もありました。