火の雨が降る
今から78年前の6月19日午後11時ごろから翌20日の午前1時にかけて、アメリカ軍の空襲が福岡市を中心に行われました。九州南部より分散北上し、有明海から佐賀県、背振山地を越えたBー29爆撃機の編隊二百数十機は、福岡市中心部をほぼ焦土と化しました。
1944年11月から本格的に開始された本土爆撃の成果が上げられないことから、日本の軍需工業は家内工業的要素があり、都市そのものが巨大な軍需工場であるとの解釈で、無差別爆撃が行われていきます。まさに蛮行ですね。
戦後、アメリカの戦略爆撃調査団が、空襲が日本人に及ぼした効果を調査するため、日本各地で聴取を行います。福岡では終戦から3カ月後に呉服町で住民74人を対象に聞き取りを行いました。しかし、住民はアメリカ側に大変警戒心を抱いており、聴取側は粘り強く質問を繰り返したそうです。実は音声は隠し撮りされており現在、福岡市総合図書館などで聴くことができます。
福岡大空襲 とアメリカ軍調査
さて、この聴取をまとめた「福岡空襲とアメリカ軍調査」海鳥社出版によると、福岡大空襲 で怖かったのは昼か夜か?の問いには①昼14人②夜41人③無回答など18人④比べられない1人ーとなり、夜と答えた人の大半は福岡大空襲のみの体験した人で、「暗いから」が理由となっています。昼と答えた人は「よく見えるから」と、破裂団、機銃掃射の体験からだと思われます。
原子爆弾をどう思いましたか?には①驚いた33・8%②恐ろしいことだ36・5%③もう終わり、人類の滅亡20・3%ーとほとんどの人が恐怖しています。このうちの7割は福岡にも落とされるのではと、戦々恐々としていたとか。また、中にはアメリカの科学の進歩に驚愕した人が19人、日本が原子爆弾を持っていればと悔しがっている人が5人。さまざまな受け止め方をしていますね。この調書の内容は大変興味深いので、一読されることをオススメします。
最後に本土空襲を時系列にビジュアル化した動画がYouTubeにアップされています。どれだけ空襲により国土が焼き尽くされたか分かる動画だったので、ご紹介します。