――記憶をたどり、人の営みを見つめる場所

京都府舞鶴市にある舞鶴引揚記念館を訪れました。
引揚の港として知られる舞鶴の地に、戦後の記憶を伝える施設があることは以前から知っていましたが、今回は機会があり、足を運びました。駐車場は広く、静かな環境の中に記念館は建っています。入口に立った時点で、少し背筋が伸びるような感覚がありました。


館内には、引揚に至るまでの時代背景、抑留生活の実態、帰国後の歩みなどが、写真や資料とともに丁寧に展示されています。
なかでも目を引いたのは、千人針などの実物資料です。一針一針に込められた思いを想像すると、言葉が少なくなります。


抑留生活を再現した展示も印象的でした。
雪に覆われた収容所のジオラマを見ると、「こんな寒さの中で」と、思わず現実感を伴って想像してしまいます。丸太小屋の中で身を寄せ合い、限られた物資の中で生き抜こうとする姿は、胸に迫るものがありました。

同館が所蔵する「世界記憶遺産」に登録された絵画の企画展示も行われていました。
畑での労働を描いた絵、即席の舞台で開かれた演芸会の様子など、内容はさまざまです。


中には、「いやな顔だったから拍手が少なかった」「調子に乗りすぎて舞台が崩壊し、お開きになった」といった細部まで描き込まれた作品もありました。
なぜそこまで書くのか――そう思いつつも、読んでいるうちに、これは単なる記録ではなく、その場に生きていた人間の視線なのだと感じました。
過酷な生活の中でも、笑おうとし、楽しもうとし、生き延びようとする。
辛さだけでなく、そうした人の営みが残されていることが、この記念館の大きな意味なのだと思います。
舞鶴引揚記念館は、悲惨さを強く訴える場所であると同時に、「生きていた」という事実を静かに伝える場所でした。