実話を元にした直木賞受賞作品
長崎ぶらぶら節という歌をご存知でしょうか?名前だけは聞いた事があるかもしれません。
長崎に伝わる民謡で、特に芸奴達の間でお座敷唄として広まりました。
また、単に「ぶらぶら節」とも呼ばれています。
歌詞には、諏訪神社や丸山の料亭・花月など、長崎市内の名所が沢山でてきます。
お座敷唄なので、自然と丸山界隈の名所が多くなっているようです。
さて、歌詞に出てくる梅園前には、長崎ぶらぶら節の小説を記念した石碑がありました。
長崎ぶらぶら節 誕生秘話
大正時代、長崎の郷土史家だった古賀は、丸山の芸妓・愛八を誘って長崎の古い歌を探す旅に出ます。
そして旅の中で、寂れた温泉町の老妓がかろうじて覚えていた「ぶらぶら節」と出会います。
長崎の町の様子を歌ったぶらぶら節は、その後様々な情景が歌い加えられていきました。
実は正確な歌詞は存在せず、自由度が高い歌であることが特徴です。
やがて歌詞は40節を越え、長崎くんちにも欠かせない代表的な民謡に成長します。
そして、芸妓・愛八の歌は日本ビクターによりレコード化され広まっていきます。
愛八の自分を投げ出した歌いっぷりに、作詞家なかにし礼は衝撃を受けたそうです。
その後、長崎の古い歌探しの実話をベースに、なかにし礼により脚色されたものが、小説長崎ぶらぶら節です。
さて、なかにし礼はこの作品で自身初となる直木賞を受賞して、その後も数多くの作品を残します。
また、同小説は映画化され、主演の吉永小百合は日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を受賞しました。