(前回までの話はこちらから)国の重要伝統的建造物群保存地区である「浜中町八本木宿」からは外れますが、付近の浜川に架かる参楽橋を渡り、多々良川まで進むと泰智寺があります。
泰智寺は、曹洞宗の寺院で、鹿島藩主鍋島家の菩提です。1623年に初代藩主・鍋島忠茂により創建されました。本堂に安置されている十六羅漢像は18世紀の後半に在京の仏師の工房で造られたとさています。
まだある酒造場を紹介します。酒蔵通りの継場から東側に進むと、飯盛酒造場があります。現在は酒造りは行っておらず、奈良漬、粕漬、地酒などを製造・販売しています。飯盛酒造は1939年には創業していたとのことです。
また、「玉の香」という文字が書かれた煙突がありますが、これは飯盛酒造の前に酒造りをしていた酒屋の醸造銘柄だそうです。
この飯盛酒造から分家して大正末期に創業したのが富久千代酒造です。あの「鍋島」は有名な銘柄ですよね。精米所、麹室、一号蔵は国の登録有形文化財に指定されています。
重要伝統的建造物群保存地区「浜中町八本木宿」から出て、付近の「浜庄津町浜金屋町」に行ってみましょう。ここも重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。
浜庄津町・浜金屋町は、浜川河口部の港町・漁村として栄えました。庄津町には商人など、金屋町には職人などが集住していました。今では両町を合わせて庄金と呼ぶそうです。
橋を渡って進むと3軒の茅葺き民家が並んでいるのが目に入ります。港町で茅葺き民家が連なっているのは全国的にも珍しいのだとか。
今まで訪れた長崎街道の宿場町跡のなかでも、見どころ満載の宿場町でした。特に多く残る酒造場はのんべいにはたまりません。春には「酒蔵ツーリズム(肥前浜宿花と酒まつり)」というイベントが開催されて、大変賑わうそうです。