唐原の平家落人伝説
天気が良かったので、ちょっと唐原に行ってきました。ここには平家の落人の伝説が伝わっています。このような伝説は全国各地に伝承されていますよね。いったいどれだけ落人がいたのだろうと不思議に思うことも。
基本は口伝としていたのでしょうから、誤伝や脚色されたものもあると思います。中には時代がかなり下って、突然発生したものもあるそうです。完全に創作なのですが、入植者が自己の正当性を主張するために行ったとか。厄介なのは、このねつ造文書が真実を探る妨げになっていることです。
わたしは、この落人伝説には興味があまりなかったのですが、ツーリングも兼ねて訪れてみました。
しばらく林道を走ると急に辺りが開けました。
ほとんど民家はないのですが、棚田が広がっています。なるほど、ここなら平家の落人がいたとしても不思議じゃないような気もしますね。なんとなく雰囲気があります。
「唐原・落人の里」と書かれた案内板がありました。説明によると、この土地に伝わるのは、平清盛の息子の平重盛の内室と千姫、福姫という2人の幼い姫の落人伝説だそうです。
地元の有力者の原田種直を頼り逃げてきたそうですが、源氏の追っ手によって2人の姫は殺害。悲しみにくれた内室は自ら命を絶ったそうです。案内板の近くには、姫たちが下界を望む大石の上にたち都での暮らしをなつかしんだとあります。この大石は都見石として残っています。
都見石の近くには平重盛の遺髪が納められた「黒髪塚」があります。すでに遺髪は盗掘されて残っていないのだとか。さらに奥に進むと薬師堂がありました。
この薬師堂は付近の雷山千如寺と同じ頃に建立されたそうです
。毎年4月12日に行われる祭礼の日には、昭和初期まで沢山の人々が訪れ、屋台がならんでいたそうです。奇しくもきょうが、その日ですね。なにか地元の人でお祭りしたのですかね。
薬師堂から、さらに奥に登ると千寿院の滝があります。地元の人は満濃(みのう)の滝と読んでいるそうです。親子3人もこの滝で遊んだのだとか。
このほか内室と娘の墓もあります。
実際に訪れてみると、感慨深いものがありました。伝承の真偽はともかく、その土地に永く伝わっていることは確かで、地元の方が関連史跡を大切に保存されてきたのが分かります。大当たりの歴史訪問でした。